IPO準備で「管理部門が間に合わない」——その失敗、防げます Blog vol.01
2026/5/14
「監査法人に指摘されてから、初めて気づいた」
IPO準備を進める企業の管理部門責任者から、こんな言葉をよく耳にします。
「証券会社から短期審査の指摘を受けるまで、まさか自分たちの管理体制がここまで不十分だとは思っていなかった」
事業は順調に伸びている。採用も進んでいる。売上も計画通り。それなのに、いざIPO準備に入ると「管理部門が追いつかない」という壁に突き当たる——これは、決して珍しいケースではありません。
私たちがこれまで支援してきた企業の多くが、同じ場所でつまずいてきました。
なぜ、成長企業ほど管理部門が後回しになるのか
答えはシンプルです。事業が忙しいからです。
創業期から成長期にかけて、経営者の意識は当然、売上・プロダクト・採用に向きます。管理部門は「とりあえず回っていればいい」という扱いになりがちで、気づいたときには属人化・手作業・ルール不在の状態が積み上がっています。
IPO準備フェーズに入ると、この「積み上がり」が一気に問題化します。
月次決算が締まるまでに3週間かかる
経費精算のルールが部門によってバラバラ
業務フローが誰かの頭の中にしか存在しない
内部統制の「3点セット」(業務フロー・業務記述書・RCM)がゼロから必要になる
これらを、通常業務をこなしながら短期間で整備しなければならない。CFOや管理部門責任者が「眠れない」と言う理由は、ここにあります。
「Xヶ月前から始めれば間に合う」は本当か
よく「IPO申請の2年前から準備を始めれば大丈夫」と言われます。しかし実態はもっと複雑です。
管理体制の整備に必要な時間は、現状のベースラインによって大きく変わります。
| 現状の状態 | 必要な準備期間の目安 |
|---|---|
| 月次決算が翌月末までに締まらない | 最低2年以上 |
| 業務フローが文書化されていない | 1.5〜2年 |
| 内部統制の概念は理解しているが未実装 | 1〜1.5年 |
| 基本的な体制はあるが高度化が必要 | 6ヶ月〜1年 |
重要なのは、「何年前か」ではなく「今の状態から何が足りないか」を正確に把握することです。
管理部門責任者が最初にやるべきこと
IPO準備において、管理部門責任者がまず取り組むべきは「現状の見える化」です。具体的には以下の3つから始めることをお勧めします。
① 月次決算の締め日を把握する 現在、何営業日で月次が締まっているか。IPOでは翌月10営業日以内が一つの目安です。
② 業務の属人化リストを作る 「この業務は○○さんしかできない」というものを洗い出す。属人化の可視化は、内部統制整備の第一歩です。
③ 規程・マニュアルの整備状況を確認する 就業規則・経費精算規程・職務権限規程など、基本的な規程が揃っているかチェックする。
この3つを整理するだけで、「何から手をつけるべきか」の優先順位が見えてきます。
「わかってはいるけど、手が回らない」という現実
ここまで読んで、「そんなことはわかっている。でも人も時間もない」と感じた方が多いのではないでしょうか。
それが、管理部門の最大のジレンマです。問題はわかっている。でも、日常業務をこなすだけで精一杯で、根本的な整備に手が回らない。
こうした状況に陥ったとき、外部の専門家を活用することは決して「負け」ではありません。むしろ、限られた時間の中でIPOを実現するための現実的な選択です。
大切なのは、「提案書をもらって終わり」ではなく、実際に現場に入り込んで一緒に手を動かしてくれるパートナーを選ぶことです。
まとめ
IPO準備における管理部門の整備は、「早く気づいた人が得をする」世界です。
監査法人や証券会社に指摘されてから動くのでは、時間的にも精神的にも追い詰められます。今の自社の状態を正確に把握し、必要な手を早めに打つこと——それが、IPOを実現した企業と途中で断念した企業の、最大の差の一つです。
「うちの管理体制、このままで大丈夫か?」と少しでも感じているなら、まずは現状を棚卸しするところから始めてみてください。
合同会社BeThereでは、IPO準備企業の管理体制構築を、実務家として現場に入り込んでご支援しています。まずはお気軽にご相談ください。